少年Kと少女Sの奮闘記
それは昨日のお話。

掃除用具を取るべく、校舎裏へと続く途中にある用具室に訪れていた。

早く来た方が用具の準備をする。というわけではない。

草野君は、自分が早く来ていても私の分は用意してくれないのだ。

普通私が来るとこが解っているならば用意してくれるものだと思っていただけに…

「なんで俺がお前の分まで持ってこねーといけねんだよ。」

そう言われたときは、この人とても性格が悪いと確信した。

後日から、わざわざ遠回りをして用具室に来ている私ですが…

「あれ?」

その日は珍しく何時もは無い筈の掃除用具があった。

「あの人、まだ来てないってとこか…。」

悩みました。
自分の分だけを取るか、草野君の分も取るか。

「…、…うん。やっぱ持っていくべきだよね。」

もしかしたら草野君からお礼を言われて、更に突慳貪な態度じゃなるなるかもしれない。
淡い期待を抱いた私は、いつも草野君が持っている竹箒と、それから…

「塵取りが…あんなに高いところに。」

塵取りは棚の一段目…、つまり私の身長では到底届かないところに並べられていた。
とりあえず手を伸ばしてみるものの届かない。精一杯背伸びをしても届かない。

「もしかして、届かないと分かっててあの人今まで…。」

閃いた瞬間なんだか嬉しくなった。
きっと不器用な人なんだ。そう私は勝手思っていたものの、すぐに我に返り塵取りを見上げた。

「ううむ…」

何か台があれば良いのだが、見渡してもそれすらない。
悩んだ挙げく、使われていない古びた跳び箱に目をつけた私は五段積の跳び箱を棚へと押し、そして登った。
木は使われていないからか、みしみしと音を立て不安定にぐらついたものの、立ち上がれば塵取りと同じ目の高さになり、ようやっと取れた。

「よし。」

塵取りを片手に跳び箱から降りようとしたその時、不安定だった跳び箱が大きく傾き私はバランスを取る余裕もなく倒れた。

ガラガラガラ――…!

埃がまい、周辺の用具にも傾いた跳び箱が合ったのだろうか、大きな物音がした。

「い、ったあ…。」

「何してんだお前。」

顔を上げると其処には私を見下ろす草野君の姿があった。

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