少年Kと少女Sの奮闘記
「い、いやあの…その…な、なんでも…。」

とてつもなく恥ずかしい。
いそいそと立ち上がろうとしたが、足には崩れた跳び箱が乗っており起き上がる事に手間取っていると、草野君が私の足元へと行き、跳び箱を退けてくれた。

「…手間増やすなよ。」

「すみません…。」

「…ん。」

「…え?」

ようやっと立ち上がろうとした私の前に出された大きな手。
草野君が私に手を差し伸べている。

「あ、あ、あの…ありが、とう…。」

「はあ。」


溜息を零しながらも私を持ち上げてくれる草野君の手はとても暖かかった。
私の手もすっぽりと収まりきる大きな手と、強い力。そして面倒そうにしながらも手を出してくれた草野君に、私はひどく胸を打たれた。

ドキン、ドキン―…


手を離された後も、胸はずっとドクドクと鳴り続け掃除をしている時にふと目が合うと草野君がとても輝かしく見えるようになりました。
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