シュガーレスガール
しらゆきひめ
次の日はラッキーなことに日曜日だった。
時間を持て余していた俺は店を手伝うことにした。
「 おはようございます… 」
開店1時間前に彼女はひょっこりやって来た。
いまホールにいるのは掃除をしている俺だけ。
「 …おはよっす 」
「 あ、薫くん…だよね? 」
「 なんで俺の名前… 」
ただ彼女に名前を呼ばれただけなのに声が震えて
俺の意思に反して心臓が暴れ出す。
「 昨日マスターに聞いたの 」
「 あ…そうだったんすか 」
「 私、西尾 緋依子 」
「 ひいこ…さん 」
片言でそう呼ぶと 緋依子さんは何度か頷いてから
これからよろしくね、と付け足した。
「 お、緋依子ちゃん早いねえ 」
そのタイミングで親父が二階からのそのそ降りてきた。
「 おはようございます、マスター 」
「 うわー。いいなあ、その響き 」
そう言う親父の鼻の下が伸びているのを俺は見逃さなかった。
「 今日からお世話になります! 」
彼女は俺の隣で深々と頭を下げた。