シュガーレスガール
「 ははは、こちらこそ頼むよ 」
そんな様子から見て、親父も緋依子さんにデレデレだ。
自分で言うのも変だが親子そろって…という感じ。
「 とりあえず着替えてもらおうか 」
「 もう制服あるんですか? 」
大きくて吸い込まれそうな瞳を輝かせながら
緋依子さんが親父の元へ駆け寄った。
「 更衣室のロッカーに入っているよ 」
「 ありがとうございます! 」
そして親父に更衣室へと案内されて行った。
本当に、どこからどう見ても緋依子さんは完璧だ。
透き通るような色白の肌、黒目の大きな二重の瞳、筋の通った鼻、
上品なピンクベージュのワンピースから伸びる華奢な手足。
ゆるく巻かれたアッシュカラーのロングヘアーがとても似合っている。
間違いなく男が放っておかないタイプの女性だ。
例えるならば、おとぎの国のお姫様。白雪姫…とでもしておこう。
そんな緋依子さんはきっと性格においても素敵なんだろう。
*
俺も掃除を終え、更衣室へと向かった。
うちの店のアルバイトは緋衣子さん以外にあと二人。
一人は俺と同じ高校に通う同級生で、
もう一人は近所に住む新婚ほやほやの原田さん家の奥さん。
アルバイト人数も少ないため、更衣室は男女兼用。
「 入っても平気ですか 」
まだ中にいると思われる緋依子さんに声をかける。
「 ちょっと待ってねー 」
「 はい 」
俺はその場から少し離れて、ホールで待つことにした。
── カチャン
それから少し経って、更衣室の扉が少しだけ開いた。
「 か、おるくん 」