シュガーレスガール


「 ははは、こちらこそ頼むよ 」


そんな様子から見て、親父も緋依子さんにデレデレだ。
自分で言うのも変だが親子そろって…という感じ。


「 とりあえず着替えてもらおうか 」

「 もう制服あるんですか? 」


大きくて吸い込まれそうな瞳を輝かせながら
緋依子さんが親父の元へ駆け寄った。


「 更衣室のロッカーに入っているよ 」

「 ありがとうございます! 」


そして親父に更衣室へと案内されて行った。


本当に、どこからどう見ても緋依子さんは完璧だ。

透き通るような色白の肌、黒目の大きな二重の瞳、筋の通った鼻、
上品なピンクベージュのワンピースから伸びる華奢な手足。
ゆるく巻かれたアッシュカラーのロングヘアーがとても似合っている。

間違いなく男が放っておかないタイプの女性だ。
例えるならば、おとぎの国のお姫様。白雪姫…とでもしておこう。

そんな緋依子さんはきっと性格においても素敵なんだろう。



*



俺も掃除を終え、更衣室へと向かった。

うちの店のアルバイトは緋衣子さん以外にあと二人。
一人は俺と同じ高校に通う同級生で、
もう一人は近所に住む新婚ほやほやの原田さん家の奥さん。

アルバイト人数も少ないため、更衣室は男女兼用。


「 入っても平気ですか 」


まだ中にいると思われる緋依子さんに声をかける。


「 ちょっと待ってねー 」

「 はい 」


俺はその場から少し離れて、ホールで待つことにした。



── カチャン


それから少し経って、更衣室の扉が少しだけ開いた。


「 か、おるくん 」



< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop