無情な少女とイケメン転校生
「月野。おーい、月野ー。次はお前だぞ」

担任に呼ばれて気がついた。

私の番か・・・。

簡潔且つ、手短に終わらせよう。

「月野雫です。以上」

「おい、待てコラ」

「・・・・・・何ですか」

自己紹介をしてあげたのに、止められてしまった。

面倒くさい。

「そんなのが自己紹介な訳ないだろ。もっとちゃんとやれ」

「私なりに頑張った結果が、これですが」

「・・・あのか月野。いくらお前が自己紹介を嫌いでも、相手は知りたいものだぞ」

「知らなくてもいいことです。知っても役には立ちません」

「立つ、立たないの問題ではなくてだな・・・」

また始まった。

そんな空気が教室を支配する。

私と他人の意見が全く合わないのは、毎度のこと。

それを知らないのは、今日転校してきた、宮村ただ一人。

でも今は、そんなことは気にしてる場合ではない 。

「じゃあ、知って何になるんですか?何にも私にはメリットがありません」

「お前にメリットがなくても、相手にはメリットがあるんだ」

「くだらないですね。それでは私が損をしているだけです」

「損はしない。お前も相手の事を知ればいいんだから」

「私にはそんなもの、必要ありません」

「・・・・・・お前の場合、社会にでたら苦労するタイプだ。お前に友達はいるのか?」

そう聞かれた。

だから、返す言葉は決まっている。

そんなのは――

「―友達なんていりません」

きっぱりと。

私は言った。

誰もが私を見て、驚いている。

「友達なんて、そんなくだらないもの、私には必要ありません」

「月野・・・」

「友達なんて作っても、将来、ずっと縁があるわげでもありませんし」

「それは・・・」

間違っている。

そう言おうとしたのか。

だけど、私がその言葉を遮った。

遮って言った。

「それに――結局、上部だけの関係ならいらないと思います」

静まり返る教室。

手の施しようがないと判断し、ため息をつく担任。

私は席に着く。

何でか宮村の顔は見なかったが、まぁ別にいい。

興味がないから。

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