ペンギン家政婦サービス
ペンギンがやってきた
「遅いですよ、アスマくん」

駅前のスターバックス。
アスマが席に着くと、すでに半分以上は空になったコーヒーカップを前にして、キヌガサはニヤリと笑った。

「おおかた、ココアと抹茶フラペチーノで迷っていたんでしょう」
「…なんで分かるんだよ」
「アスマくんは甘いものが好きですからねえ」
「それにしてもメニューまで当てられると気持ち悪い」
「じつは僕、超能力者なんです」
「お前が言うと本当っぽいよ」

アスマがため息をつくと、後からきた客が、物珍しそうな顔をしてこちらを見ながら通りすぎていった。

「…こんな人の多い所にいたら、目立ってしかたないな」
「アスマくんがイケメンだから皆見ているんですねえ」
「明らかにお前のせいだろ」

そう、この2人の青年は、店内で妙に目立っている。それは、キヌガサのせいーーー主に、その服装のせいだった。

白いシャツに、白いパンツ。
ご丁寧に靴まで白く、ついでにいえば肌も青白い。
伸ばしっぱなしの髪の毛だけが、黒々と光っていた。

「なんでお前は、いつも白ずくめなんだよ」
「いいじゃないですか、好きなんですよ、白。僕は潔癖なんです。潔癖が高じて、ってやつです」
「潔癖を名乗る前に髪をなんとかしろ」

アスマは2度目のため息をついた。


< 1 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop