ペンギン家政婦サービス
今日はキヌガサが妙なことを言っていたな…。

アスマは一人暮らしのマンションで、風呂上がりの濡れた髪を拭いていた。

あいつが変なこと言い出すのは珍しいことじゃないけど、なんか気になる。
まだ、とか、今夜あたり、とか…。

ピンポーン。

急にインターホンが鳴った。

「誰だ?こんな時間に…」

インターホンの受話器をとる。

「はい」
『ペンギン家政婦サービスでーす』
「…はい?」
『ペンギン家政婦サービスでーす』

受話器から聞こえてきたのは、間延びした女の声。
ペンギン家政婦サービス?聞いたことないな。

「家政婦なんか頼んでないけど」
『いえいえ、長南アスマさんですよね?ベアトリス様のお孫さんの』
「え…」

急に祖母の名前が出てきたので、アスマは驚いた。
アスマの祖母はフランス人、アスマはクォーターだった。

『ベアトリス様のご依頼で来ましたー。開けてくださーい』
「ばーちゃんの…?」

祖母からそんな連絡は来ていない。新手の詐欺かもしれない。
だが、このふわふわした声を聞いていると、どうも悪人とも思えない。

アスマは、ドアを開けてみることにした。
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