だいすきのすき
まぁ、留年にリーチってのは勉強を教えてもらう為の口実。

毎回テストでは赤点だらけだけどまだ一応留年の可能性は今のところはない。


でも、この子の人の良さそうな顔見てたら、こっちの弱味をチラつかせたらきっと助けようとしてくれるんじゃないか……。


なんて思ってしまう。


案の定、


「そっかぁ……。留年しちゃったら大変だもんね」


コケシちゃんは大人しそうな童顔を心配そうな表情に変えて、俺を見つめ返してきた。



そして、心配顔をにこっと控えめな笑顔に変えた彼女が、


「わたしで良ければ協力するよ」


俺にこう答えてみせた。


ヨッシャ! 
俺の目論見はまんまと成功ってワケだ。



やっぱり俺の思った通り。
このコケシちゃんは、ほとんど喋ったことない野郎の為に時間を割いてくれるお人好しなヤツだった。

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