だいすきのすき
誰に聞かれたワケでもないのに言い訳を考えてた俺に、



「うかって読むの。雨に花で」



こう言って小西さんがノートの雨花って書いた部分を指差した。



「なんで雨? 梅雨に生まれたの?」


「ううん。……雨って人にも花にも生きる為に大切なモノだから。うちの親いわく、恵みの雨って意味なんだって」


「太陽じゃなくて?」


「お日様も大事だけど雨も同じくらい大事で。目立たなくても縁の下の力持ちで命を守ってるからって」



自分でこうやって言うのは恥ずかしいんだけどね。
そうやって控えめにはにかんだ彼女には雨って漢字が似合う気がする。



確かに。
太陽みたいな華やかさとか明るさとかは無いもんな。
どっちかと言えば、大人しくてしっとりした感じが雨っぽい。


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