だいすきのすき
「憂梧くんっ」


玄関の近くまできた時。

不意に名前を呼ばれて思わず足を止めた。



玄関の出入口の前にはずっと前に教室で別れたはずの雨花が居て。


俺の姿を見つけるなり、名前を呼びながら早足でこちらに歩み寄ってきた。



まさか居るとは思ってなかった雨花の姿にちょっと面食らった俺を見上げ、


「これ、渡したくて」


差し出してきたのは何枚かのレポート用紙の束だった。


それが何なのかもわからず、差し出されるままに受け取る。


パラパラと捲ったそこには、教科別にテスト範囲の要点がキレイにまとめられていた。


何これ……。
まさか俺のために作ってくれてた、とか?
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