だいすきのすき
まぁ。
俺の見た目を気に入ったって言うんなら、学力が多少低くても別に気にしないだろう。


それよりも、これで俺もやっと彼女いない歴=年齢じゃなくなるんだなっ。
なんて頭の中で一人先走る俺に、


「つーか、おバカなのはとりあえず置いといて……憂梧って童貞だよな」


「なんだよ」


あえて口に出すほどのことでもないような現実を突きつけてくる汰一。


遊び呆けていて男女交際すらないのに、エッチの経験があるはずがない。
そういうヤツもいるかもしんないけど、少なくとも俺はそうじゃない。


だから、そんなわかりきった質問をわざわざ口にする汰一の意図がわからず、眉間にシワを寄せて訝る俺に、


「いや~晴奈ちゃんモテそうだし多分経験者っぽいよな……って」


「うっ……」



言われた言葉で汰一が何を言わんとしてるのかがだいたいわかって、思わず口を噤んでしまった。


相手が経験者となれば……俺がドシロウトの童貞だってことがきっとバレてしまう。


それがどうしたって思われるかもしれないけど……これは男として由々しき問題だよな。


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