だいすきのすき
「じゃあまた家に遊びに来て!」
「えっ?」
「お母さんも弟も昨日憂梧くんが帰ってから、次はいつ来るの? って何回も言ってたから」
うるさいのが嫌じゃなかったらだけど。
なんて、はにかみながら付け加える雨花が意地らしく見える。
家の話を聞いて俺が寂しがってるとでも思ったのか。
それなら慣れてるから心配しなくて良いって言おうかと思って、口を開きかけた時だった。
「わたしももっと料理の練習するから、憂梧くんの好きな食べ物とか嫌いな食べ物とか教えて欲しいな」
こちらを見上げていた雨花がこう言いながら、視線の重なった俺ににこっと笑いかけられて胸の奥の方から言い知れない感情がこみ上げてくる。
雨花をホントに好きだったら多分、ギュッと抱きしめてたかも……。
大人しいくせに……ホントに純粋でお人好しでイイ子の雨花が、どんどんと自分の中で膨らんでるって自覚してしまう。
これって罪悪感なのかな。
だったら、これ以上深入りしないうちに計画を終わらせないとな。
そう思って、俺はまた浮かび上がった罪悪感に蓋をするのだった。