だいすきのすき
「……お邪魔します」
玄関をくぐるなりそわそわして落ち着かなげな雨花。
まぁ……仮にも彼氏の家に来たんだから、緊張の一つもするのが当然か。
「誰も居ないから緊張しなくて良いって」
「……う、うん。でも、男の子の……彼氏のお家なんて初めてだから」
こう言い直してへへっと笑う雨花が、初々しくて可愛いと思ってしまう……。
こんなんで俺まで緊張しそうになるとか、如何にも童貞っぽくて駄目だ。
気持ちを逸らすようにキッチンに向かって、黙々とご飯の用意をしていく。
「お皿とお箸とコップと……お茶は冷蔵庫だから」
「あっ、うん」
傍らにくっついてきた雨花と一緒にお皿に盛り直したご飯を、ダイニングテーブルに並べて席についた。