だいすきのすき
雨花の母親の料理は前と同じで美味しくて、箸がどんどん進んでいく。


「実は電話した時ね、風芽も一緒に
行くってずっと言ってたんだよ」

「だから後ろがザワザワしてたんだ」

「えっ! 聞こえてたの?」


コンビニで電話を受け取った時のザワザワの正体がわかって、納得した俺に雨花は驚いたように目を丸くした。


……まさか電話越しに聞こえてるとは思わなかったんだろな。


雨花の反応に思わず笑いを漏らすと、恥ずかしそうに頬を赤らめてしまう。


そんな風に他愛ない話をしながらテーブルを囲んでいた時だった。

ガチャリとドアの開く思いがけない音がしたかと思えば、


「憂ちゃん誰か来てるの……って、あら? もしかして、憂ちゃんの彼女?」


買い物袋を提げた姉貴がひょっこり現れて、思わず反射的に椅子から立ち上がってしまう。


「姉貴っ!」

「えっ!」



どうやら出張中の母さんの代わりに様子を見に来たらしい。


玄関に見慣れない靴があるのを見ていたようで、ダイニングテーブルに座る雨花を見るなり、ニヤリと嫌な笑顔で俺を見てくる……。


……これはマズイ人に見つかってしまった。

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