だいすきのすき
雨花にキスを受け入れられた時に感じた体中が満たされていくような感覚。
“憂梧くんなら嫌じゃないから”って笑ってくれた雨花の顔とか、別れ際に駆け寄って俺に抱きついたこと。
なんであの時、雨花が大好きって言ったのか……結局わからないままだったな。
目の前に居る晴奈ちゃんと付き合う為に雨花と重ねた時間が、晴奈ちゃんと過ごす時間で上書き出来るって思ってたのに……。
むしろ。
こうして雨花を思い出しては最後に別れを告げた時の悲しそうな顔が蘇ってまた、罪悪感が胸の中でモヤモヤする。
「ごめん。土曜日は用事あるから」
「え~残念。せっかくずっと一緒にいられると思ったのに」
なんて言いながら上目遣いに唇を尖らせた彼女はやっぱり誰が見ても可愛い。
なのに……なんで俺、心の底から嬉しいって思えないんだろう……。
こんな可愛い子に言い寄られてるなんて、男としては名誉なのかもしれないけど……尻込みしてしまうのは童貞だからなのか。
それとも……雨花への罪悪感の呪縛のせいなのか。
いくら考えても答えは見つけられなかった。