恐愛同級生
「そんなあたしの気も知らないで莉乃ってば翔君とのことでのろけることもあったでしょ?ちょっと顔が可愛いからって調子に乗りやがって。あれ、マジでウザかったから」
好未は吐き捨てるように言った。
「あたし、のろけてなんていないよ!翔とのこと、好未が色々聞いてきたから答えただけでしょ?答えるのが恥ずかしいことでも無理して答えてたんだよ?」
「だったら答えなきゃいいじゃん。あたしさぁ、莉乃みたいな女一番ムカつくんだよね。『好未のこと信じてたのに!』とか言っちゃってさぁ。今まで誰かに裏切られたことないぬるーい人生送ってるから簡単に人のこと信じたり、そんなバカみたいなことが言えるんだって」
「何が言いたいの……?」
思わず声が震える。
「信じたって裏切られてバカを見ることになるってあたしのおかげでようやく気付けたでしょ~?」
「ひどい……。ひどすぎるよ……」
目頭が熱くなり、必死に唇を噛みしめて堪える。
重苦しい雰囲気が保健室の中に広がる。
「何、今度は泣くの?ていうかさぁ、目障りだからさっさと消えて。今から、翔君とさっきの続きするんだから」
好未はいまだにベッドの上で身動き一つとれないでいる翔の隣に腰かけた。
スマートな動きで翔の腕に自分の腕を絡めて、肩に頭を乗せる。
テカテカと光った好未の唇のグロスが翔の口元にもついている。
キス……したの?
一体どこまで……したの?
ねぇ、翔。
こんな裏切り……あまりにもひどすぎるよ。
二人の情事を頭に思い浮かべた途端、指先が小刻みに震えた。