恐愛同級生
喉の奥から感情がせりあがってくる。
だけど、あたしは何も口にすることなどできず唇を痛いくらいに噛みしめた。
脳がようやく翔と好未の裏切りを理解したのか、さっきまで冷静だったはずなのに今度は体中が熱くなり呼吸が荒くなる。
これ以上ない怒りを感じる。それは今までの人生で味わったことがないほどのものだった。
人は怒りが最高潮に達すると、怒鳴り散らすことができないんだと今知った。
好未に対して言いたいことは山ほどある。
汚い言葉でののしって、頬に平手打ちをするくらいじゃ気が済まない。
今すぐ翔の隣にいる好未をベッドから引きずりおろして、馬乗りになって髪の毛を乱暴にむしりとってやりたい。
あたしをののしるその口をふさぎたい。
逆切れしてあたしを罵倒する舌を引っこ抜いてやりたい。
唇をふさぎ、息を止め、二度とあたしをののしれないようにしてやりたい。
翔の唇にキスができないようにしてやりたい。
黒い感情が全身を包み込む。
あたしは憎しみを込めた目で好未を睨んだ。