恐愛同級生
それは本当に一瞬の出来事だった。
バランスを失った好未の体が保健室の冷たいタイル張りの床にぶつかる。
「……――いったぁぁぁ!!!何すんのよ!?」
ベッドに座ったままの状態で受け身を取らずに落ちた好未はお尻を激しく打ち付け、痛みに顔を歪めた。
でも、痛みよりも怒りが勝ったんだろう。
素早い動作で立ち上がると、怒りで目のふちを赤く染めて翔の前で仁王立ちした。
「ねぇ、翔君。約束が違くない~?」
「……約束ってなに?」
「ふーんっ。いいんだ?莉乃に言っても~?」
「勝手にすればいいだろ。もう付き合いきれない。もし言ったら……――」
翔はベッドから勢いよく立ち上がると、好未の首に右手を当てた。