恐愛同級生
「……――おじゃまします」
やってきた桜は玄関先でお母さんに丁寧に頭を下げた。
あたしは桜を部屋に案内すると、再びリビングに戻りマロンを抱き上げて階段を駆け上がった。
桜の住んでいるアパートではペットを飼うのを禁止されている。
だから、犬好きな桜はうちでマロンとたわむれるのをいつも楽しみにしていた。
「桜、おまたせ!!マロン到着だよ~!」
何とか明るくつとめようとしてわざとテンションを上げて部屋の扉を開けると、桜はどこか一点を食い入るように見つめていた。