恐愛同級生

「ちょっ……鈴森さん、どうしたの?まだ寝ていた方がいいわ」

「ダメ……早く逃げなくちゃ……」

焦っているせいか普段はすぐに履ける上履きがなかなかはけない。

どうしよう。翔がもうすぐここに来てしまう……。

早く。急がないと。

掛け時計のカチカチっという針の音が妙に耳に響く。

もしも、また翔と会ったら意識を失うだけでは済まないかもしれない。

また、あの鬼のような形相であたしを……――。


「教室に戻るなら、五十嵐君が来てから……――」

「……――ダメ!!」

自分でも信じられないくらいの大声でそう叫んでいた。

先生は訳が分からないといった様子でぽかーんっとあたしの顔を見つめる。
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