恐愛同級生
「飲み物持ってくるからちょっと待ってて?」
「あぁ。ありがと」
翔に微笑み部屋を後にする。
翔との出会いは高校に入学してからすぐのことだった。
『五十嵐翔(いがらしかける)っていう超イケメンがいる』
入学式の日からしばらくは、どのクラスでも翔の話題で持ちきりだった。
翔のことを廊下から一目見るために、クラスメイトの女の子たちは休み時間の度に隣のクラスへ向かった。
『莉乃は見に行かないの?』
桜にそう聞かれたあたしは首を横に振った。
『あたしとは縁のない人だから』って。
この時は本当にそう信じて疑わなかった。
だけど、それからすぐにあたしはひょんなことから翔と出会った。