恐愛同級生

高校生活にも慣れ始めて気持ちの余裕が生まれてきた頃、あたしは初めて図書室を訪れた。

小さな図書室にはたくさんの本が並び、本と木の香りが混ざり合い心を落ち着かせた。

春先のあたたかい陽気の中での読書。

自然とまぶたが重くなる。

机に顔を伏せると、いつの間にか眠りの世界に落ちて行った。

「んっ……?」

ふと目を覚ますと、目の前には見知らぬ男の子が座っていた。

寝ぼけまなこで彼を見つめると、彼は申し訳なさそうに読んでいた本をぱたんっと閉じた。

「勝手に借りてごめん。面白そうな本だったから」

「えっ……?あぁ……」

彼の手の中にあるのは、あたしが眠る前まで読んでいた本だった。
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