恐愛同級生

「よかったら先にどうぞ」

いつからここにいたんだろう。

あたし、いびきとかかかなかったかな……?

男の子とあたししかいない静かな図書室の中でいびきをかいてしまったとしたら、とんだ赤っ恥だ。

急に恥ずかしくなって慌てて荷物をまとめて図書室を後にしようとするあたしに、彼はニコッと太陽のような笑みを浮かべた。

「君って、隣のクラスの鈴森さんだよね?鈴森莉乃(すずもりりの)さん」

「どうしてあたしの名前……」

「クラスの奴らが、隣のクラスに超可愛い子がいるって言うから、こっそり一度見に行ったんだよね」

彼は笑顔を崩すことなく続ける。
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