恐愛同級生

ある日、兄貴の家を訪れると部屋に兄貴の姿はなかった。

コンビニにでも出かけたんだろうか。

不思議に思いながらもローテーブルの上に置いてあったノートパソコンに目がいった。

勝手に見てはいけない。

分かっていたはずなのに、自分を止められなかった。

スクリーンセイバーが働いているのか、パソコン画面は真っ暗だ。

マウスをすっと動かしてわが目を疑った。

【五十嵐翔 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す】

その文字ですべての画面が埋まっていた。

俺はパソコンを勢いよく閉めて立ち上がると、兄貴の家をそっと後にした。

兄貴が……壊れかけている……。

パソコン画面を思い出すといまだにドクドクと激しく鳴る鼓動。

五十嵐……翔……殺す……?

五十嵐翔っていったい何者だ……?

その日を境に俺は五十嵐翔という人物を調べることにした。
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