恐愛同級生

屋上から逃げた鈴森は安全な場所に避難しただろうか……?

屋上へ来た時の尋常ではない怯えぶりが気にかかる。

俺が刺された瞬間を目の当たりにしたときも、パニックに陥り髪をかきむしっていた。

鈴森のあの目……まるで島田の兄貴のようだった。

人間なのに、人間ではないかのような何も色を持たない目。

俺は痛む腹部を抑えて倒れている五十嵐の元へ手を伸ばした。

「殺してやる……殺して……やる……」

制服のズボンをまさぐる俺を鬼のような形相で睨みつける五十嵐。

……あった……。

俺は奴のズボンからスマホを取り出すと、痛みをこらえ屋上の扉に向かって歩き出した。。
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