恐愛同級生
鈴森はいつも二人の友達と一緒に行動していた。
一人は派手そうな茶髪のロングへアの女。
そして、もう一人は菊人形のような真っ黒な髪の女。
ロングヘアの女と鈴森は一緒にいても何ら不思議ではない。
けれど、もう一人の黒髪の女はどう考えても鈴森やもう一人の女とは一線を画していた。
黒髪の女からはどこかじめっとした陰湿な雰囲気が伝わってくるようだった。
いつもピタリと張り付くように鈴森のそばにいた女。
けれど、鈴森は茶髪ロングの女と同様に黒髪の女とも親しげにしていた。
廊下ですれ違う時はいつも黒髪の女と一緒にいるし、むしろ茶髪ロングの友達と一緒にいるときよりも黒髪の女といるときの方が楽しそうだった。
鈴森と本当に仲が良いのは、黒髪の方だったのか。
見た目だけで判断した俺が間違っていたのかもしれない。
そんな風に思い始めていた時、俺は偶然ある現場を目撃した。
黒髪女と島田の兄貴が一緒に歩いているところを偶然見つけてしまった。
その時、背筋がスーッと寒くなった。
その女が島田の兄貴と接触を持ち、兄貴をマインドコントロールして五十嵐翔への復讐を遂行させようとしている……と悟ったからだ。
SNSで頻繁に接触している相手もあの女だ。
その理由は分からない。
けれど、あの黒髪女にどこか狂気じみたものを覚えて鈴森にもしものことがあってはいけないと忠告することに決めた。