恐愛同級生

市川はうつむき、肩を震わせる。

泣いているのか……?

今度は一体なんだ……。

「……――アンタ達は、仲良くここで死ぬの」

市川が顔を上げた時、ハッとする。


違う!泣いていたんじゃない。笑っていたんだ……――!!

長く真っ黒な前髪の間から除く狂気に満ちた目。


あぁ、そうだ……。

その時、思い出した。


五十嵐に強引に手を引っ張られ、廊下を歩いていた鈴森を引き止められなかったあの日。

騒ぎがあったと思われる教室を除くと、黒髪の女がうつむいて肩を震わせて泣いていた。

いや、違う。あの時も、泣いてはいなかった。

そうだ。あの時も笑っていたんだ……。

「ま、待て!!」

慌てて扉に手を伸ばすも、寸前のところでバタンッと閉められてしまった。
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