恐愛同級生
いつの間にか薄暗くなった部屋の中で、あたしは翔の首に腕を回して抱きついた。
耐えることのできない甘い刺激に心も体も押しつぶされそうになる。
怖くなって翔の名前を呼ぶと、翔は「大丈夫だよ」とあたしの頭を優しく撫でてくれる。
甘くて幸せなあたしと翔、二人だけの時間。
「莉乃……っ」
「かける……っ」
翔のかすれた声があたしの頭をしびれさせる。
このまま、この瞬間がずっと続けばいいのに。
翔と二人の……幸せな時間がずっとずっと……――。
この時、あたしの頭の中は翔でいっぱいで、
三浦君のこともラインのことも何も考えられなくなっていた。
幸せの裏で忍び寄る黒い影に……
あたしはこの時はまだ気付いていなかった。