恐愛同級生
とうとう三浦君が入ってきた……!!
どうして?
どうして玄関の扉を開けることができたの?
ねぇ、どうして!?
「いやあぁぁぁっぁ!!!もうやめてぇぇぇぇ!!!」
もう終わりだ。
恐怖と絶望からおでこには脂汗が浮かび、呼吸が定まらない。
涙があふれ、視界がにじむ。
半狂乱になりながら頭を抱えると、髪の毛が何本か抜けてしまった。
でも、痛みすら感じない。
それほどまでの恐怖だった。
「こないでぇぇぇぇ!!!」
玄関先で顔を玄関マットに押し付けて背中を丸めて、声の限り叫ぶ。
「……――莉乃、あんたこんなとこにうずくまって何やってるのよ」
すると、頭上から聞き覚えのある声が降ってきた。
「え……?」
あたしは涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を恐る恐る持ち上げた。
「……おかあ……さん……?お、お母さぁぁぁぁん!!!」
「ちょっと、莉乃!?アンタ、いったいどうしたのよ!!」
大声をあげて足にしがみつくあたしにお母さんは素っ頓狂な声を上げる。
お母さんは泣きじゃくるあたしの背中を優しくさすると、
「……――もうダメ。これ以上我慢できない!!ちょっと待ってて!!」
持っていたカバンを玄関先に放り出してトイレへ駆け込んだ。