ミュゲ
「失礼致します。私はミュゲ・ハルス・ビンドウィードと申します。お久しぶりに御座います、皇帝陛下。」
ドレスの端を持って軽く会釈をする。
私の声に、姿に、雰囲気に、
この大広間の場所は一気にザワついた。
…………皇帝陛下を除いて。
「ミジュ、もっとこちらへ。
見覚えのある者も多いだろう。改めて皆に紹介する。こちらの方は先帝の第一皇女、ミュゲ・ハルス・ビンドウィード。
つまりは私の妹である。
訳あって18歳になるまでの12年間、離宮で過ごしてもらっていた。
ミジュ……いや、ミュゲ。体は大丈夫か?」
「はい、皇帝陛下。おかげさまで、快適に過ごせることができました。」
やっぱり、お兄さまが皇帝陛下になられたのね。
皆には見えないが、白いローブの中で私が笑んだとき、ガタガタと席を立つ音がいくつもした。
「ミ、ミジュ様ですと?!」
「誠であられるか?!」
「陛下!!!」
お兄さまを慕う貴族からの声々。
お兄さまが皇帝陛下になったから、私は再び宮殿へと来ることができた。
つまり、前皇帝陛下と皇太后陛下、お父さまとお母さまはもう……。