ミュゲ
収まり切らない騒ぎようの中で一際目立った大臣の声が響いた。
「陛下! 大変無礼ながら、その方がミュゲ様だという証拠をお見せください。」
その言葉に私は動揺した。
証拠……
再び騒ぎ出す広間。
いきなり現れた顔も見せない小娘が皇女など、受け入れられないのは当たり前だ。
「そのお方が誠にミュゲさまでしたら、"ミジュ"さまでもあろうことです。史実ですと、同じ能力を持つ者はいないとあります。ミジュのお力を拝見させて頂きたく思います。」
「……いいだろう。ミュゲ、そのローブと首輪を取り外しなさい。」
凛とした兄さまの声が私の困惑をさらに招いた。