ミュゲ
首輪を外す……
この12年もの間、外すことを許されなかったこの首輪。
莫大なるミュゲの能力が発揮されたあの時から、抑えこむために施された特殊な首輪。
人々が恐れ、私を監禁へと追い込んだミュゲの力。
この会場の皆も、私に薄々感づいているはずだ。
私があの時の子だと……
このピリピリした会場が物語っている。
なのに、お兄さまは私にローブはまだしも首輪まで外せとおっしゃる。
「わかりましたわ、陛下。」
私が言葉を言うだけで空気が変わる。
深呼吸をして目を閉じた私は、ローブにゆっくりと手をかけた。
白いローブからなびいた黒髪は麻薬のように、
伏せた睫毛もまた黒色で、
真っ白な肌がその場を魅了する。
そして開かれた瞳の色は、藍色――――。
その場の全ての者が瞬きを忘れた。
カシャ、と小さな音と共に首輪から解き放たれた、目に見えぬ圧倒的な力。
それは、ミュゲの価値。