ミュゲ
「皆さま、私もこの度、十八の歳を迎えました。ミジュの能力は制御できますのでご安心ください。」
その心地良い音色は、老若男女問わず虜にした。
しかしそれは能力ではなく、彼女自身に秘めた
モノ。
「力を使わずとも言うまでもない。この姿にこの者が私の妹ではないと反論する者はいないであろう?
正統な王家の女子にしか受け継がれない黒髪に、“ミジュ”である藍色の瞳。疑う余地もない。
それでももし、疑う者がいるならば、遠慮せずに申すがいい。証拠は全て整ってある。」
シンと静まり返る会場。
これは誰もが私を認めてくれたということなのだろうか……。
驚いてるだけか、国王が言ってるからだけか、半信半疑で動けないだけであっても、
あの時は私を恐れ、見向きもせず近寄ってこなかった人たちが、
私を正面から見てくれている。
そのことが私の胸の中を暖かくした。