ミュゲ
私が私だと確認された。
私が“ミジュ”であると承認された。
私が、前第一皇女・ミュゲであると証明されたのだ。
それは、……そういうことなのだろう。
私の価値を、私は知っているわ。
「皆には三日後に披露宴があると、事前に招待させてもらっていたな。曖昧にしていたが、ミュゲの披露宴を執り行うものとする。
言いたいことは様々あるだろう。一時間の休憩後、急ぎの者以外はまたここに集まって欲しい。以上だ。
……ミュゲ、久々に大勢の中で疲れただろうが、話があるので一緒に私の執務室へ。」
膝を折って、私が承知の意を表すと、お兄さまは立ち上がりこの大広場を去っていった。
その後ろ姿が映った私の視界は霞んだ。
幼い頃と変わらなく逞しい背中に、国を背負っている釈然とした佇まい。
12年の歳月は思ったよりも周りを変化させていた。
「失礼致します皇帝陛下。ミュゲに御座います。」
いつかこうなることを望んで、本で何度も練習した皇家の所作。
それがこれからの生活に役に立つことができる。
ミュゲの完璧なる動作に皇帝であるロータスも感心するあまりだ。
牢番役の者からの報告通り、ミュゲは気品溢れた所作を持ち兼ねていた。