クール上司と偽装レンアイ!?
「好きだよ」

その瞬間、ドクンと心臓が高鳴り、体中に熱が伝わって行くのを感じた。

たった一言が息も出来ないくらいの喜びを与えてくれる。

「……本当に?」

これが夢じゃないって確かめたくて、震える声で言う。

神崎さんは頷いた。

「転勤して来て前の席に座るようになってからだんだんとお前の事気になり出した。真面目に働いてるのに不器用で、いつも損な役を押し付けられてるのにそれに気付かないで楽しそうにしていて、でも意外に周りに気は遣ってて……俺にも何かと気を遣ってただろ?」

「え?」

「自分の仕事も片付かないのに、俺の仕事気にしたり」

そう言ってから神崎さんは突然クスリと笑った。

「俺への八橋が無いって妙に気にしてたよな。変な事気にするなって思ったけど、あれはお前の優しさだろ?」

「八橋……?」

初め何の事か分からなかったけど、口に出してみるとその時の光景が思い浮かんだ。
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