クール上司と偽装レンアイ!?
「私の事、名前で呼んで欲しいんです……広瀬さんなんて、他人みたいで嫌だから」

神崎さんは一瞬驚いた顔をしていたけど、直ぐに笑顔になり言った。

「彩」

現実では初めて聞く、神崎さんからの呼びかけ。

聞きなれた自分の名前なのに、甘く聞こえる。

「俺の事も名前で呼べよ」

「……葵?」

ただ名前を呼ぶだけなのに、苦しいくらい緊張した。

でも嬉しくて……気がつけば私達の間に壁も溝もなくなっていた。

彼の腕が伸びて来て、私は引き寄せられるように、その胸に体を預けた。

「彩……」

甘美な呼びかけ。

顔を上げると、強い力で抱き締められ、そのまま唇を塞がれた。

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