クール上司と偽装レンアイ!?
初めは葵の事、冷たくて、人と馴れ合わない、愛想が無い人と思っていたけど、それは私の思い違いだった。

葵は優しい。

態度で言葉で私に幸せをくれる。

大好き……そんな気持が高まってその腕に抱きつきたくなってしまう。

私の気持に気付いたのか、葵が手を握って来てくれた。

駐車場まで手を繋ぎながら歩く。

満たされた気持の中、ふと思いついて聞いてみた。

「ねえ葵、会社では付き合ってる事ばれたらまずいよね?」

うちの会社は社内恋愛OKだけど、でも同じ部署だしあまり浮かれていたら周りが嫌だと思う。

気をつけなくちゃと思ってそう言ったんだけど、葵は呆れた様な顔で私を見た。

「俺達既に付き合ってるって噂になってるだろ? まさか忘れてたのかよ?」

「あ……」

そう言えば、そうだった。

藤原さんとの関係を疑われた時、葵が咄嗟に付き合ってるって言ったんだった。

もちろん、その頃はそんな事実は無かったんだけど。

「そんなに意識しなくていいだろ? 会社では今まで通りに過ごせばいいんだし」

「うん……」

葵の言う通りだけど、女性ってほんの些細な変化に敏感だから、私達の関係が変わったって事購買部の皆に気付かれてしまうかもしれない。

気をつけないと。

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