クール上司と偽装レンアイ!?
「早く取り掛かれよ、間に合わなくなるぞ」

その優しさの欠片も無い言葉に、さっきからの我慢も吹き飛んだ。

「あれは私のミスじゃなかった。それなのにどうして私に怒るの?」

敬語も忘れて履き捨てると、葵は一瞬驚いた様な表情を浮かべ、それから直ぐに冷たく恐い顔になった。

「営業部から見たら誰がミスしたなんて関係無い。この件の窓口はお前なんだから後輩のミスが有ったとしても最後まで責任を持てよ」

「でも……」

「それに入力ミスの後、注意して見ていれば気付く機会は有ったはずだろ? 見逃したのは自分なんだから認めろよ」

「……」

葵の言ってる事は正論かもしれない。

でもあまりに冷酷に感じた。

購買部の仕事はいつも忙しくて、目の前の仕事をこなすので精一杯で……少なくとも私に後輩のミスを見つけてフォローする余力は無い。

毎日ストレスは溜まるし、疲れてる。

それでも頑張ってるのに、どうして私ばかりが怒られるの?

それも恋人であるはずの葵に。
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