クール上司と偽装レンアイ!?
「真壁から聞いたから」

「真壁さんから?」

「そう。試作品が間に合わなくて困ってるって相談の連絡が来た」

「そうなんですか……」

あの真壁さんも藤原さんには頼るんだ。

そんな姿想像出来ないと思いながら、藤原さんに頭を下げた。

「すみませんでした。営業部に迷惑をかけてしまって」

「ちゃんとフォローしてくれたんだから大丈夫。それに今回のトラブルは広瀬さんのミスじゃないだろ?」

藤原さんは優しく言ってくれる。

その言葉に私は大きく気持を揺さぶられた。

私が間違ったんじゃないと、認めてもらえて嬉しかった。

今日はみんなに責められてばかりだったから、余計に優しさがしみてくる。

本当は葵に気遣って欲しかったし、分かって欲しかったけど。

葵の険しい顔が思い浮かぶ。


『自分がミスした時はちゃんと謝れよ』


あの言葉はショックだったな。

私はいつもはミスしたら直ぐに謝っている。意地になって逆切れなんてしないし、葵だってそれは分かってくれていると思ってたから。

葵はどうしてあんなに冷たいんだろう。

私達の関係を隠したいって訳じゃないのに、他の誰よりも私に厳しいと思う。

週末の彼は優しくて、笑顔だって見せてくれたのに、オフィスでは不機嫌顔で私を見る。

分からない……。
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