クール上司と偽装レンアイ!?
「……!」

障子を開いたのは、強烈な不機嫌オーラを漂わせた葵だった。

今頃残業しているはずなのに、どうしてここに?

「藤原。お前どういうつもりだよ?」

葵は棘の有る声で言う。

私はそれだけでビクっとしてしまうけれど、藤原さんは余裕の表情でゆっくりと立ち上がった。

「広瀬さんと偶然会ったから誘ったんだよ。お前にもちゃんと連絡入れたんだから問題ないだろ?」

藤原さんが葵を呼んだの?……全く気がつかなかった。

「問題有るだろ? 俺は仕事中だったんだからな」

「だったら来なければ良かっただろ? 自分で仕事より彼女を選んだんだから文句言うなよ」

藤原さんはからかうような口調で言い、葵の肩をポンと叩く。

「お前の好きなもの注文しておいたから、彼女とゆっくりしていけよ」

それから不満顔の葵と急転回についていけない私を残して、障子を開き部屋を出て行った。


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