クール上司と偽装レンアイ!?
「広瀬。次行くぞ」

せっかく解散になったと思ったのに、別府課長は私を解放する気は無いらしい。
しつこく大声で呼びかけて来る。

ああ……もう最悪。

最高に憂鬱な気持ちで、それでも仕方なく課長について行こうとすると、突然グイっと腕を掴まれた。

「えっ?」

私の腕を掴んでいるのは、神崎さんだった。

付き合い程度には飲んでいたはずだけど、全く顔色は変わってなくて、いつものクールな口調で別府課長に言った。

「すみません、俺達明日朝一で仕入先を訪問予定なんです」

「え……明日?」

そんな予定、今初めて聞いたんだけど。

戸惑う私を神崎さんは切れ長の目で睨み黙らせる。

「では、これで失礼します、今日はありがとうございました」

神崎さんは淡々とした口調ながらも礼儀正しく頭を下げ、そしてなぜか私の腕を掴んだまま夜の街中に向って歩き始めた。



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