クール上司と偽装レンアイ!?
他にも訴えたい事は沢山有ったけど、これ以上何か言ったら本当に泣いてしまいそうで口を閉ざす。

葵はそんな私の状況を察したのか、少し気まずそうな顔になった。

重い空気が二人の間の距離を更に遠くする。

息苦しさの中、先に口を開いたのは葵だった。

「俺の言い方は厳しいかもしれないけど、彩を傷付けたいなんて思ってない」

「……」

「ただ彩に気付いて欲しかったんだ」

「気付くって何に？」

本当に分からなくて聞き返すと、葵は少しの間を置いてから言った。

「……彩は優しいよ。誰に対しても俺みたいな言い方は絶対にしない、今日だってミスした後輩を責めたりはしなかっただろ？」

「もう済んだ事だったし……」

葵と真壁さんに責められた事は納得いかなかったけど、その気持のまま後輩を責める気にはならなかった。一言、ミスしてたよって伝えたんだけど……葵はその様子を見てたんだ。
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