クール上司と偽装レンアイ!?
「それならこの件はもう少し様子を見てから決めるか」

「……」

どうやら即決は免れたみたいだけど、状況的に私の立場は首の皮一枚の危ういものだ。

不安で仕方ない私に別府課長は驚く事を言った。

「神崎も広瀬の異動は考え直して欲しいって言ってたしな」

「えっ……どういう事ですか?」

葵からはそんな話聞いていない。

「この前ちょっと聞いてみたんだよ。広瀬が購買から異動になったら業務にどの程度支障が有るか」

「それはいつの事ですか?」

「いつって……いつだったかな……」

別府課長は面倒そうに眉間にシワを寄せる。

「ああ、あれだ。神崎がなかなか昼戻らなかった日だ」

それって、私が真壁さんに怒られ、葵とも険悪になってしまった日だ。

あの日、そんな話をしてたなんて。

何も知らなかったから事実は衝撃だった。

でもあの時葵がどうしていつも以上に苛立って私に注意をして来たのかが今更だけど分かった。

後が無い私がミスして甘えた事ばかり言っていたから、その危機感の無さが葵はっもどかしかったんだろう。
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