クール上司と偽装レンアイ!?
「神崎は個人的感情は抜きにして広瀬はもう少し頑張れば戦力になるはずだって言ってたな」

葵……別府課長にそこまで言ってくれたんだ。

私にそんな事微塵も悟られないようにして。

「別府課長、私本当に頑張ります。購買に残らせてもらえませんか?」

人事異動を断るなんて余程の理由が無ければ無理だと分かっているけど、それでも懇願してみる。

せめて私にはやる気が有るって事だけでも伝えたかった。

別府課長は困ってるのか、面倒なのか分からないけど、ノートパソコンの画面を眺めながら顔をしかめて言った。

「まあ最近ミスは減ったみたいだし、それなりに頑張ってはいるみたいだけどな」

「あ、はい……ケアレスミスを無くそうと、気をつけてます」

「でもそれで評価するのは無理だな。そもそもミスをしないのは当たり前の事だし、会社としては利益に貢献する社員を必要としてるんだからな。広瀬は数字に表れる結果を出せてないだろ?」

「……はい」

「しばらく様子を見るから。取り合えず成果を出すように頑張ってみろ」

「は、はい!」

取り合えずチャンスは貰えたようだった。

ピンチには変わりないんだけど。
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