クール上司と偽装レンアイ!?
「とにかく別府課長の要求通り数字で結果を出すしかないな。俺も協力するから頑張ろうな」

「うん……ありがとう。ごめんね葵心配かけて」

「謝る事じゃないだろ」

「でも……」

葵は今とても忙しいから本当は自分の事でいっぱいのはずなのに、私の事で余計な手間をかけさせたくない。
でも私にそれを言わせないようにしているのか、葵がいつにない早口で言った。

「別府課長に一番アピール出来るのはコストダウンをして利益率を上げる事だろうな」

コストダウン……仕入値を下げて結果利益率を上げる為の活動で、購買部としては重要な仕事だけれど、私は一度も成果を出した事が無かった。

と言うより交渉すらした事がない。

葵は客を選ぶ難しい仕入先に交渉して値下げを成功させた事が有るけれど、私にそんな事出来るのかな……正直自信が無かった。

「午後時間を作ってとにかく交渉してみる。数をこなせばなんとかなるかもしれないし」

「いや、それより、まず何年も価格が変わっていなくて、かつ現在も流通している製品をピックアップした方がいい。その中から交渉出来そうなものを選ぶんだ。その方が効率がいい」

「あ、そうだよね」

さすがに葵は要領がいい。同じ事をしても遠回りしがちな私とは大違いだ。

食事の続きをしながら葵は交渉のポイント等細かく教えてくれた。

落ち込んでいた私も、段々と前向きな気持になっていく。

少しは笑えるようになっていた。
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