クール上司と偽装レンアイ!?
「葵、ありがとうね」
そう言うと、葵も仕事中は滅多に見せない笑顔で頷いてくれる。
「彩は頑張ってるよ。別府課長が気付いてくれるといいんだけどな」
「うん……ねえ。葵は私の異動の件前から知ってたんでしょ?」
「……知ってた。黙っててごめんな」
葵は気まずそうな表情になる。
「ううん。私が傷付かないように黙ってたんでしょ? でも仕事は頑張るように仕向けてくれたよね」
「そのせいで喧嘩になったけどな」
「私本当にのん気だったよね。葵は別府課長に私の事庇ってくれてたのに」
「別府課長に聞いたのか?」
「うん。ありがとうね、私達の事噂になってるのに、そんな中庇ってくれて」
端から見たら葵が仕事に個人的な感情を持ち込んでるように見えるかもしれないのに。
「いいんだよ。彩が努力してるのは本当の事なんだから」
葵は優しい声音でそう言ってから腕時計に目を向けた。
「もう少し話したいけど戻るか」
「あ、そうだね。今遅れて戻ったら問答無用で異動させられそうだし」
葵と話せて良かった。
どん底まで落ちていた気持ちに、灯りが差し込んだように、諦めずに頑張ろうって気持ちになれた。
二人で急ぎ足で店を出て会社への道のりを進んでいると、後ろの方から声が聞こえて来た。
「葵!」
反射的に葵が、その少し後に私が振り返る。
その瞬間心臓がドクンと音を立てた。
小走りに近寄って来るのは総務部の朝井まどかさん。
葵の昔の彼女だったから。
そう言うと、葵も仕事中は滅多に見せない笑顔で頷いてくれる。
「彩は頑張ってるよ。別府課長が気付いてくれるといいんだけどな」
「うん……ねえ。葵は私の異動の件前から知ってたんでしょ?」
「……知ってた。黙っててごめんな」
葵は気まずそうな表情になる。
「ううん。私が傷付かないように黙ってたんでしょ? でも仕事は頑張るように仕向けてくれたよね」
「そのせいで喧嘩になったけどな」
「私本当にのん気だったよね。葵は別府課長に私の事庇ってくれてたのに」
「別府課長に聞いたのか?」
「うん。ありがとうね、私達の事噂になってるのに、そんな中庇ってくれて」
端から見たら葵が仕事に個人的な感情を持ち込んでるように見えるかもしれないのに。
「いいんだよ。彩が努力してるのは本当の事なんだから」
葵は優しい声音でそう言ってから腕時計に目を向けた。
「もう少し話したいけど戻るか」
「あ、そうだね。今遅れて戻ったら問答無用で異動させられそうだし」
葵と話せて良かった。
どん底まで落ちていた気持ちに、灯りが差し込んだように、諦めずに頑張ろうって気持ちになれた。
二人で急ぎ足で店を出て会社への道のりを進んでいると、後ろの方から声が聞こえて来た。
「葵!」
反射的に葵が、その少し後に私が振り返る。
その瞬間心臓がドクンと音を立てた。
小走りに近寄って来るのは総務部の朝井まどかさん。
葵の昔の彼女だったから。