クール上司と偽装レンアイ!?
「随分酔ってるな」
私の前に現れた葵は、まず最初にそう言った。
それから一緒に待っていてくれた真希ちゃんに目を向けた。
「大塚さんはそれほど酔ってなさそうだな。良かったら駅まで送るけど」
葵の申し出を真希ちゃんはやんわりと辞退した。
私が助手席に乗るのを見届けると、真希ちゃんはしっかりした足取りで遠ざかって行った。
葵は車を直ぐには発進させなかった。
私の様子を窺いながら言う。
「何か有ったのか?」
「……」
「彩が飲み過ぎるのは、精神的に追い詰められた時だろ? 俺には言えない事なのか?」
葵は私の心の揺れを見透かした様に追求して来る。
本当は冷静に話したかったけど、結局私はまたお酒の勢いで言ってしまった。
「葵と朝井さんが噂になってるって聞いたから。それに……お昼に二人で会ってるところを見た人が居るの!」
驚いたのか、葵は一瞬言葉に詰まったようだった。
でも直ぐに冷静な声音で言った。
「そういう噂が有る事は知ってる」
「……そうなの?」
意外だし、ショックだった。
私は知らなかったのに、噂話に無関心な葵が知っていたなんて。
しかもそれを私には黙っていたなんて。
「真壁に嫌味っぽく言われたからな」
「真壁さんに……」
真壁さんの美しいけれど、いつも不満そうな顔が思いうかんだ。
真壁さんは葵とも朝井さんとも同期だから、いろいろ知っているのかもしれない。
私なんかより朝井さんと葵が付き合えばいいと思ってるかもしれない。
なんだかナーバスになってるせいか、マイナスな想像ばかりしてしまう。
私の前に現れた葵は、まず最初にそう言った。
それから一緒に待っていてくれた真希ちゃんに目を向けた。
「大塚さんはそれほど酔ってなさそうだな。良かったら駅まで送るけど」
葵の申し出を真希ちゃんはやんわりと辞退した。
私が助手席に乗るのを見届けると、真希ちゃんはしっかりした足取りで遠ざかって行った。
葵は車を直ぐには発進させなかった。
私の様子を窺いながら言う。
「何か有ったのか?」
「……」
「彩が飲み過ぎるのは、精神的に追い詰められた時だろ? 俺には言えない事なのか?」
葵は私の心の揺れを見透かした様に追求して来る。
本当は冷静に話したかったけど、結局私はまたお酒の勢いで言ってしまった。
「葵と朝井さんが噂になってるって聞いたから。それに……お昼に二人で会ってるところを見た人が居るの!」
驚いたのか、葵は一瞬言葉に詰まったようだった。
でも直ぐに冷静な声音で言った。
「そういう噂が有る事は知ってる」
「……そうなの?」
意外だし、ショックだった。
私は知らなかったのに、噂話に無関心な葵が知っていたなんて。
しかもそれを私には黙っていたなんて。
「真壁に嫌味っぽく言われたからな」
「真壁さんに……」
真壁さんの美しいけれど、いつも不満そうな顔が思いうかんだ。
真壁さんは葵とも朝井さんとも同期だから、いろいろ知っているのかもしれない。
私なんかより朝井さんと葵が付き合えばいいと思ってるかもしれない。
なんだかナーバスになってるせいか、マイナスな想像ばかりしてしまう。