クール上司と偽装レンアイ!?
今の葵からは考えられない行動。

そこまで彼女を好きだったの?

血の気が引いたのか、身体が冷たくなる。気分が悪くなった。

それなのに真壁さんは追い討ちをかける様に言う。

「でも再会してからの様子を見てると、まどかは神崎君とやり直そうとしてるみたいね。ふったものの惜しくなったのかもしれないわ」

「……」

それは私も感じていた事だった。

朝井まどかさんの態度は明らかに葵に好意的だし、それで私は気にしていた訳だし。

葵は過去の事って言ってたから気にしないよう頑張ってたけど、でも思いの他深い関係だった二人の事を知ってしまうともう不安で仕方無かった。

「広瀬さん大丈夫? 顔色凄く悪いけど」

近藤さんが心配そうに気遣ってくれる。

でも、もう一人になりたかった。

平気なふりをする気力がもう残ってない。

「具合が悪くて……すみません、私これで失礼します」

不満そうな真壁さんと、不思議そうな近藤さんを置いて、私はその場から逃げ出した。
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