クール上司と偽装レンアイ!?
最悪の目覚め。

机の上の鏡を覗くと、有り得ない程浮腫んでしまった顔で、私は大きな溜息を吐いた。

こんな顔をして出社したら泣いた事がばれてしまう。

タイミング的に皆異動が嫌で泣いたんだって思うだろう。

それはだいたい当たってるんだけど、見透かされるのは嫌だった。

まだ正式な辞令は降りてないから皆には秘密だけど、引継ぎ用のマニュアルを作ってる事に気付いた人だっているはずだ。

別府課長に呼び出されて会議室に籠もって居た事だってばれている。

影では私の異動はもう噂されてるんだろうな。

使えなくて購買部から出されたって言われてるかもしれない。

被害妄想かもしれないけど、そんな風に考えてしまう。

だからこそ、惨めになりたくない。最後の日まで明るく過ごしたい。

変に同情されたくない。

落ち込んでるところや悲しんでるところを知られたくなかった。


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