クール上司と偽装レンアイ!?
いつもより30分以上メイクに時間をかけて出社すると、別府課長と葵が私の席の前で何か話しこんでいた。

「おはようございます」

近付いて控えめに挨拶をすると、別府課長は弾かれた様に振り向いた。

「広瀬、ギリギリだぞ!」

同情されるのが嫌なんて心配は無用だったらしく、別府課長はいつも以上に乱暴な口調で言った。

「すみません」

遅刻はしてないから納得はいかないけど、逆らって面度になるのは嫌だから大人しく謝る。

少ししてから顔を上げた途端、葵と目が合った。

葵は何か言いたそうな目で、じっと私を見つめてる。

昨夜泣いて眠ってる間に葵からの着信が何度も有った。

当然出れなかったし、朝気付いてからもかけ直さなかった。

その事を怒ってるのかな?

葵と見詰め合っていたのは一瞬だったと思う。

別府課長に妨げられたから。

「広瀬、直ぐに打ち合わせコーナーに来い」

「あ、はい」

異動の話かな?

そう考えながら大股で先に移動する別府課長の背中を見送った。

私も慌しく荷物を置いて、ノートとペンを持って打ち合わせコーナーに向う。

なぜか葵も一緒に着いて来て別府課長の隣に座った。

私の正面には別府課長。斜め前には葵と言う今までに無い配置。

どうして葵が?

戸惑っていると別府課長が早口に語り出した。

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